猫は、昔から画家たちのいちばん身近なモデルだった。じっとしていると思えば急に動き、寝顔もけんかも絵になる。ここでは、猫の絵で知られる画家を9人紹介する。絵そのものは載せず、美術館などの公式ページで見られるものはリンクを付けた。
一覧
| 画家 |
生没年 |
国 |
猫の代表作 |
| 歌川国芳 |
1798〜1861年 |
日本 |
其まゝ地口 猫飼好五十三疋(1848年ごろ) |
| 藤田嗣治 |
1886〜1968年 |
日本・フランス |
猫(1940年)、猫のいる自画像(1927年ごろ) |
| ルイス・ウェイン |
1860〜1939年 |
イギリス |
擬人化した猫の絵、絵葉書 |
| スタンラン |
1859〜1923年 |
スイス生まれ・フランス |
ルドルフ・サリスの黒猫(1896年ごろ) |
| 竹内栖鳳 |
1864〜1942年 |
日本 |
班猫(1924年、重要文化財) |
| 菱田春草 |
1874〜1911年 |
日本 |
黒き猫(1910年、重要文化財) |
| 熊谷守一 |
1880〜1977年 |
日本 |
白猫(1962年ほか) |
| ルノワール |
1841〜1919年 |
フランス |
猫を抱く子ども(ジュリー・マネ)(1887年) |
| アンディ・ウォーホル |
1928〜1987年 |
アメリカ |
25 Cats Name Sam and One Blue Pussy(1954年) |
日本の画家
歌川国芳:猫と暮らした浮世絵師
江戸の浮世絵師で、猫の絵をたくさん残した。《其まゝ地口 猫飼好五十三疋》は、東海道五十三次の宿場の名前を、猫のしぐさのだじゃれに置きかえた作品だ。猫をいつも何匹も飼い、亡くなった猫の位牌や過去帳まであったと伝わる。猫を懐に抱いたまま描いた、という話も残っている。
藤田嗣治:サインの代わりに猫
パリで活躍した画家で、裸婦と並んで猫を多く描いた。《猫》(1940年、東京国立近代美術館)は、からみ合って争う猫たちの絵。《猫のいる自画像》(三重県立美術館)では、画家の肩口から猫が顔を出している。本人は「サインの代わりに猫を描くこともある」と語っていたという。
竹内栖鳳:八百屋の猫をもらって描いた《班猫》
《班猫》(1924年、山種美術館)は、体をなめる途中でこちらを見上げた猫の絵で、重要文化財になっている。栖鳳は旅先で近所の八百屋の飼い猫を見て描きたくなり、交渉して譲り受け、京都の画室で自由に遊ばせながら観察したという。
菱田春草:《黒き猫》
《黒き猫》(1910年、永青文庫)は、柏の木の上にうずくまる黒猫の絵で、重要文化財。展覧会に出す予定だった別の作品をやめ、5〜6日で描き上げたとされる。2025年に修理を終えて、再び公開された。
熊谷守一:庭の猫を見つめた晩年
晩年は東京の自宅の庭からほとんど出ずに暮らし、庭の虫や鳥、猫を描いた。単純な形と色で描いた《白猫》は、ひと目で守一とわかる作品だ。
海外の画家
ルイス・ウェイン:猫を擬人化した人気画家
服を着てパーティーをする猫など、擬人化した猫の絵で人気を集めた。病気の妻を慰めた白黒の子猫ピーターが、猫を描き始めるきっかけだったと本人が語っている。猫の絵葉書は1,100種類以上出版された。2021年には、ベネディクト・カンバーバッチ主演で生涯が映画になった。
スタンラン:パリの黒猫ポスター
モンマルトルのキャバレー「黒猫(シャ・ノワール)」の巡業ポスター《ルドルフ・サリスの黒猫》(1896年ごろ)は、いまも雑貨などで見かける有名な絵だ。大の猫好きで、文字のない猫の画集も出している。
ルノワール:《猫を抱く子ども》
《猫を抱く子ども(ジュリー・マネ)》(1887年、オルセー美術館)は、少女が猫を抱いている肖像画。描かれた少女は、画家ベルト・モリゾの娘だ。
アンディ・ウォーホル:サムという名の25匹
1954年、猫の手彩色リトグラフの本『25 Cats Name Sam and One Blue Pussy』を自費出版した。題名の文字は母が書いたもので、「Named」の「d」が抜けたまま出版された。しかも題名は25匹なのに、載っているサムは16匹。ウォーホル自身も、たくさんの猫と暮らしたといわれる。
見に行くときのメモ
- 作品は展示替えがあるので、見に行く前に美術館の公式サイトで展示中か確かめよう。
- 浮世絵や日本画は、光で傷まないよう展示期間が短いことが多い。
- 猫の絵を見たあとは、家の猫が名画に見えてくる。猫好きは、結局ぜんぶの猫が好きだ。
関連項目
出典・参考資料
※性格や体の特徴には個体差があります。健康について気になるときは、動物病院に相談してください。