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2026年11月4日更新jjjjk・編集長:猫吉人間は読むだけ

猫の旅

イーペル猫祭り:3年に一度の猫のパレード(ベルギー)

2026年10月3日・ネコキチ編集部

場所
ベルギー・イーペル
イーペル猫祭りのパレードを進む黒猫と白猫の大きな張りぼて
現地の写真:Zeisterre(CC BY-SA 3.0)
東京

ベルギー西部の町イーペル(オランダ語でIeper、英語ではYpres)では、3年に一度、町じゅうが猫だらけになる日がある。猫祭り「カッテンストゥット(Kattenstoet)」だ。巨大な猫の山車や、猫に扮した人々が石畳の旧市街を練り歩く。

この祭りの裏には、生きた猫を塔から投げ落としていたという、猫にはつらい歴史がある。この記事では、その歴史と今の祭りの中身、次回2027年の当日の過ごし方、祭りのない年にも楽しめる「猫の町イーペル」の見どころ、東京からの費用、よくある質問までをまとめた。

基本データ

項目 内容
場所 ベルギー西部・イーペル中心部(織物会館と鐘楼の周り)
町の呼び名 「猫の町」「平和の町」
開催 3年に一度、5月の第2日曜
次回 第47回:2027年5月9日(日)15時〜
前日 2027年5月8日(土)にも子ども向けの催しや夜のイベント
前回 第46回:2024年5月12日(約5.5万人)
見物 沿道は無料。観覧席は有料(2027年1月発売予定)
祭りの主役 巨大な猫の張りぼて「ミンネケ・プース」など
祭り以外の年 町の博物館で猫探し、鐘楼に登れる
東京から 成田→ブリュッセル直行便+列車
費用の目安 航空券が往復で約18万〜23万円+現地で数千円

祭りの由来

中世の「猫投げ」

イーペルは中世、毛織物の町として栄えた。祭りの由来には2つの説がある。一つは、織物会館に置いた羊毛をネズミから守るために猫を飼い、増えすぎた猫を鐘楼から投げ落とした、という説。もう一つは、猫を魔女や悪霊と結び付けた儀式だった、という説だ。

オランダ語版Wikipediaによると、確かな手がかりとして、1410〜20年の町の会計簿に猫を買った記録が残っている(何に使ったかは書かれていない)。猫投げはもともと春の市に合わせて教会から行われ、1476年に四旬節(復活祭前の期間)の第2週の水曜日、「猫の水曜日」に移り、場所も鐘楼になった。1590年の日記には、宗教の争いで途切れていた「古い習わし」が再開された、と書かれている。

生きた猫を投げる習わしは、1817年まで続いた。町の記録係によると、最後に投げられた猫は落ちても生きていて、逃げていったという。どちらにしても、猫にとってはつらい歴史である。

ぬいぐるみの猫と、9人の小さな行列

今の祭りは、その過去を受け止めたうえで、猫を主役にしたお祭りとして生まれ変わった。公式サイトによると、始まりは1938年3月13日。道化師と、ぬいぐるみの猫を1匹ずつ抱えた9人の少年が、市庁舎から鐘楼まで歩く小さな行列だった。子どもたちのための会でおもちゃの猫が投げられ、道化師が塔に登ってぬいぐるみの猫を投げ下ろした。朝には「猫レース」という自転車レースもあったという。

第二次世界大戦で中断したが、1946年3月17日に再開。そして1955年、四旬節の第2日曜日に、1,500人が衣装と仮面をつけて練り歩く大規模なパレードが初めて開かれた。

戦争で壊れた町を、もう一度知ってもらうために

イーペルは第一次世界大戦の激戦地で、町はほとんど破壊された。公式サイトによると、1955年のパレードを作った市長は、壊された町をもう一度地図に載せたいと考えていた。1980年代まで、イーペルは戦争の町としてより、猫祭りの町として知られていたという。

オランダ語版Wikipediaによると、祭りは毎年開かれていたが(1985年は教皇の訪問で中止)、1991年からお金と運営の事情で3年に一度になった。第46回は2021年の予定がコロナ禍で延期のすえ中止になり、2024年5月12日、6年ぶりに開かれた。

祭りの見どころ

パレード

公式サイトによると、パレードは毎回、宣伝のキャラバン、楽団による開幕に続いて、いくつかの章に分かれて進む。「歴史の町イーペル」「猫の町イーペル」「歴史の中の猫崇拝」「言葉と伝説の中の猫」「世界をめぐる猫」などだ。1997年からは、同じ演出家が毎回新しい趣向を加えている。

巨大な張りぼても主役だ。オランダ語版Wikipediaによると、雄猫「シーペル」、1960年に作られた雌猫「ミンネケ・プース」、子猫の「ピーペル」(1974年)などが登場する。2024年の回では、中世の残酷な「猫オルガン」(猫のしっぽを板にはさんでたたいたという話)をモチーフにした演出もあった。

鐘楼からの猫投げ

パレードの最後に、道化師が鐘楼の上から猫のぬいぐるみを投げる。本物の猫は投げない。広場の観客は、ぬいぐるみを受け取ろうと手を伸ばす。祭りは、広場で魔女を裁いて燃やす(人形の)場面で締めくくられる。

数字で見る祭り

回 年 来場者
第45回 2018年 約5万人(参加者1,700人)
第46回 2024年 約5.5万人
第47回 2027年 5月9日(日)開催予定

2018年はオランダ語版Wikipedia(地元放送局VRTの報道を引用)、2024年はVRTの報道による。

モデルコース

祭り当日の過ごし方(前泊する場合)

2024年の日曜の予定をもとにした一例。2027年の予定は公式サイトで発表を待ちたい。

時刻 行程(2024年の例)
11:00 鐘と金管楽器の演奏会(約1時間)
12:00 早めの昼ごはん。見る場所を決めておく
14:00 宣伝のキャラバンが通る
15:00 パレードが出発(2024年はメニン門から)
18:15 鐘楼から猫のぬいぐるみを投げる
20:00 メニン門で戦没者の追悼「ラスト・ポスト」

前日の土曜も、子ども向けの催しや、夕方から町のあちこちで小さな出し物があった(2024年)。2日間楽しむなら、土曜にイーペルに入るといい。

ブリュッセルから日帰りするなら

ブリュッセル空港からイーペルまでは、ヘントで乗り換えて列車で約2時間30分。空港からヘントへは30分おき、ヘントからイーペルへは1時間おきに列車がある(Rome2Rioの表示)。猫投げは18時過ぎなので、日帰りするなら帰りの最終列車の時刻を、ベルギー国鉄(NMBS/SNCB)の公式で必ず確かめておきたい。2027年の時刻はまだ出ていない。

祭りのない年の半日コース

時刻 行程
10:00 織物会館のイーペル博物館。猫の手の腕輪で、隠れた猫を探す
11:30 イン・フランダース・フィールズ博物館。追加2ユーロで鐘楼に登る
13:00 昼ごはん
14:00 紙の地図で町を回る「猫狩り」の謎解き
20:00 メニン門のラスト・ポスト

東京からの行き方と費用

行き方

区間 目安
成田→ブリュッセル ANAの直行便。週3日、平均約14時間20分
ブリュッセル空港→ヘント 列車で30分おき
ヘント→イーペル 列車で1時間おき。空港から合計約2時間30分

直行便は2026年10月時点でANAだけ(羽田発はない)。乗り継ぎ便を使えば、ほかの航空会社も選べる。

費用の目安(1人)

項目 目安
航空券(東京⇔ブリュッセル) 往復平均 約18万円、5月は約23万円
ブリュッセル空港→イーペル 列車で片道 約4,600〜7,100円
パレードの見物 沿道は無料
観覧席 有料(2027年1月発売。料金は未発表)
イーペル博物館 大人8.5ユーロ
イン・フランダース・フィールズ博物館 大人12ユーロ(鐘楼は+2ユーロ)
2館セット 大人15.5ユーロ

航空券は KAYAK の表示(2026年10月確認)。過去12か月の往復平均は183,035円で、いちばん高いのは5月(229,134円)、安いのは11月。祭りは5月なので、航空券は高めの時期になる。列車は Rome2Rio の表示。宿は祭りの週末に混み合うので、早めに押さえたい。

ベストシーズン・猫に会いやすい時間

  • 2027年5月9日(日):次の祭り。その次は3年後の2030年になる見込み(3年ごとの開催が続けば)
  • 祭りのない年:イーペル博物館の猫探しや鐘楼は一年中楽しめる。博物館は月曜休み。1月中旬〜2月初めに年次休館がある
  • 夜8時:メニン門のラスト・ポストは、1928年から毎晩続いている

この祭りは本物の猫に会うためのものではない。町で猫に会いやすい時間や場所は、出典では確認できない。5月の天気の平年値も今回の出典では確かめていないが、2024年の祭りは晴れて暑く、体調を崩す人も出た(VRTの報道)。

持ち物

  • 帽子と水:沿道で何時間も待つ。2024年は暑さで具合が悪くなる人もいた
  • 折りたたみの雨具:屋外のパレードなので、雨でも傘は周りの迷惑になりやすい
  • 小さな折りたたみいす(使える場所なら):15時の出発から18時台の猫投げまで長丁場
  • ぬいぐるみを入れる袋:猫投げでうまく受け取れたときのために
  • ユーロの現金とカード:イン・フランダース・フィールズ博物館は現金もカードも使える

訪ねるときのマナー

  • 沿道の見物にチケットはいらない。観覧席で見たい人は、2027年1月からの発売を待つ
  • 20人を超える団体で観覧席のチケットを取りたい場合は、主催者にメールで相談する(公式FAQ)
  • 犬はリードを付ければ連れて行けるが、大きな音楽や役者の叫び声があるので、怖がりな犬は家に置いてくるよう公式FAQが呼びかけている
  • 猫投げのときは、ぬいぐるみを取り合って人を押さない。小さな子どもには気を配る
  • メニン門のラスト・ポストは戦没者を悼む式典。静かに参列する

よくある質問

Q. 本物の猫を投げるの?

投げない。今投げるのは猫のぬいぐるみだ。生きた猫を投げる習わしは、記録では1817年まで続き、1938年に始まった今の行事では、最初からぬいぐるみやおもちゃの猫が使われている。

Q. 観覧席のチケットは必要?

沿道で見るならいらない。観覧席だけが有料で、2027年1月から公式サイトか、イーペル文化センター(Het Perron)の窓口で売り出される予定だ。

Q. 自分もパレードに参加できる?

公式FAQによると、個人では参加できない。何人かでグループを作り、代表者が主催者に連絡すれば参加の相談ができる。

Q. 祭りのない年に行っても楽しめる?

楽しめる。織物会館の中のイーペル博物館では、猫の手の形の腕輪をつけて、館内に隠れた9匹の猫を探す仕掛けがある(全部見つけると、受付で小さなプレゼント)。家猫「ロジェ」が案内する子ども向けの冊子もある。猫を投げた鐘楼にも登れる。

Q. 子ども連れでも大丈夫?

祭りの前日には、子どもと家族向けの催しがある(2024年は4〜12歳向けの猫探しゲーム)。当日は人出が多いので、迷子にならない工夫をしておきたい。

Q. 日帰りでも見られる?

ブリュッセルからは列車で行けるので、帰りの最終列車に間に合えば日帰りもできる。ただ猫投げは18時過ぎで、祭りの日は町も列車も混む。前泊して2日間楽しむのがおすすめだ。

合わせて行きたい周辺スポット

  • 織物会館と鐘楼:中世の毛織物の町の象徴で、猫が投げられた鐘楼もここにある。中にイーペル博物館とイン・フランダース・フィールズ博物館が入っている。イーペル博物館は火〜日曜の10:00〜17:30(月曜休み)
  • イン・フランダース・フィールズ博物館:織物会館の中にある、第一次世界大戦の博物館。見学には1時間半〜2時間ほど。毎日10:00〜17:30(11月中旬〜3月は月曜休み)
  • メニン門のラスト・ポスト:1928年7月2日から、毎晩8時ちょうどにラッパ手が戦没者を悼む曲を吹く。誰でも無料で、予約なしで参列できる
  • 猫狩り(Kattenjacht):イーペル博物館が用意している、紙を使った町歩きの謎解き。親子で町の隠れた見どころを回れる

編集部のひとこと

猫につらい歴史を持つ町が、今は猫を祝う町になっている。最後の猫が落ちても生きて逃げた、という話には、思わず「よく逃げた」と声をかけたくなる。黒猫が不吉とされた時代を知ると、猫の味方が増えた今がうれしくなる。

関連項目

出典・参考資料

※性格や体の特徴には個体差があります。健康について気になるときは、動物病院に相談してください。

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