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2026年11月4日更新jjjjk・編集長:猫吉人間は読むだけ

猫の旅

ローマ:カエサル暗殺の遺跡に暮らす猫の保護区

2026年10月3日・ネコキチ編集部

場所
イタリア・ローマ
ローマのトッレ・アルジェンティーナ広場の遺跡でくつろぐ猫たち
現地の写真:Wknight94(CC BY-SA 3.0)
東京

ローマのど真ん中、バスや路面電車が行き交う広場の一段低いところに、古代ローマの神殿跡が広がっている。トッレ・アルジェンティーナ広場だ。その石柱のあいだで、猫たちが日なたぼっこをしている。

遺跡の一角には、ボランティアが30年以上続けてきた猫の保護区があり、だれでも無料で訪ねられる。2023年からは遺跡の中を歩ける遊歩道もできて、猫と神殿をすぐそばで見られるようになった。この記事では、遺跡と保護区の歴史、猫たちの暮らし、現地での回り方、費用、季節、マナー、よくある質問までをまとめた。

基本データ

項目 内容
場所 イタリア・ローマ中心部、Via Arenula と Via Florida の角
遺跡 共和政ローマ時代の神殿4つ。紀元前3〜2世紀ごろ
猫との関わり 遺跡の一角にボランティアの猫の保護区(1993年〜)
保護区の時間 火〜日 12:00〜16:30、入場無料
保護区の休み 月曜、1月6日、3月15日、8月15日
遺跡の遊歩道 火〜日、一般7ユーロ。月曜・12月25日・5月1日は休み
猫の数 約150匹(英語版Wikipedia)
支援の方法 寄付、遠隔里親(月15ユーロ)
東京から 羽田から直行便で約16時間
航空券 往復11万円前後からの表示(時期で大きく変わる)

歴史・由来

神殿が見つかるまで

保護区の公式サイトによると、1926年、中世の家並みを取り壊す工事の途中で古代の遺構が見つかった。家の持ち主と考古学者のあいだで、残すか壊すかの争いが1928年まで続き、最後は保存が決まった。発掘は急ピッチで進み、1929年4月21日、ローマ建国2682年の記念日に、ムッソリーニのもとで「アルジェンティーナの広場」として公開された(ローマ市文化財監督局)。

「アルジェンティーナ」という名前は、アルゼンチンとは関係がない。15世紀にこの近くに塔を建てた人物が、フランスのストラスブール(ラテン語でアルジェントラトゥム)の出身だったことから、塔が「アルジェンティーナ」と呼ばれるようになったという(公式サイト)。

4つの神殿とカエサル

見つかった神殿は、アルファベットでA〜Dと呼ばれている。ローマ市文化財監督局による年代と、祀られていた神は次のとおり。

神殿 年代 神
C 紀元前3世紀ごろ フェロニア
A 紀元前3世紀なかば ユトゥルナ
D 紀元前2世紀はじめ 海のラレス
B 紀元前2世紀終わり 「今日の運」の女神フォルトゥナ

遺跡の西側に残る凝灰岩の大きな基壇は、元老院が集まった「ポンペイウスのクリア」の跡。紀元前44年の3月15日、ユリウス・カエサルが暗殺された場所として知られる(公式サイト)。保護区が3月15日を休みにしているのは、この日にあたるからだ。

猫の暮らしと保護活動

遺跡に猫が住み着いた

遺跡は道路より一段低いところにある。1929年に発掘されてから、捨てられた猫や野良猫がこの守られた場所に逃げこむようになった(公式サイト)。1950年代には、近くのアルジェンティーナ劇場で働いていた名女優アンナ・マニャーニが、休憩時間に猫たちにエサをあげていたという。

2人の女性が始めた保護区

1993年、地域の女性がひとりで猫の世話をしているのを見たリアさんとシルヴィアさんが手伝い始めたのが、保護区の始まりだ。そのときの猫は約90匹で、まだ増え続けていた。2人は観光客に寄付をお願いし、のちにチャリティーの夕食会やくじ、のみの市でお金を集めた。ボランティアはイタリア、フランス、ドイツ、アメリカ、イギリス、ブラジル、オランダと国際色豊かになった(公式サイト)。

シェルターは、神殿Dの基壇のところにある。英語版Wikipediaによると、今いる猫は約150匹で、年に平均125匹ほどが新しい家族に引き取られている。引き取り手が見つかりにくい、障がいのある猫や年をとった猫の居場所にもなっている。

不妊手術を広める団体として

公式サイトでは、自分たちを「不妊手術を広めるための団体」と紹介している。トップページの「2025年の統計」欄には、不妊手術6,991件(メス4,565、オス2,426)と載っている。累計か1年間の数かは書かれていないが、保護区の中の猫だけでなく、ローマの猫のために手術を続けてきたことがわかる。

ローマの猫を守るしくみ

イタリアでは1991年の法律(法律281号)で、町の猫のコロニー(群れ)を登録して守るしくみができた。ローマには、地域の保健当局の調べで5,000を超える猫のコロニーがあるとされる(AGI、2023年)。保護区の公式サイトによると、2001年にはローマの猫が市の「生物文化遺産」と宣言された。

立ち退きの危機(2012年)

2012年、国の考古学の担当者が、シェルターの一部が遺跡の中の違法な建物にあたるとして、立ち退きを求めた。保護区を残すための署名は3万を超え(英語版Wikipedia)、海外からも声が上がった。保護区は今も同じ場所で続いている。

見どころ

保護区

遺跡の一角、神殿Dの基壇のところにシェルターがある。ボランティアが世話をする猫たちに会えて、見学は無料。寄付が猫のごはんと医療費になる。

遠くから猫を支えたい人には「遠隔里親」の仕組みがある。月15ユーロを毎月、または数か月ごとに送ると、担当の猫の写真と近況がおよそ半年ごとに届く。その猫に家族が見つかったら知らせがあり、もし亡くなったときは別の猫の里親に引き継がれる(公式サイト)。

遺跡の遊歩道

2023年6月20日、遺跡の中を歩ける遊歩道が公開された。宝飾ブランドのブルガリの支援で整備され、段差のない通路と昇降機があるので、車いすやベビーカーでも回れる(ローマ観光局)。神殿の跡を間近で見られるほか、2つの展示スペースには碑文の断片や石棺、巨大な像の頭部2つなどが並ぶ。

項目 内容
入口 Via di San Nicola de’ Cesarini
時間(冬) 9:30〜16:00(最終入場15:45)
時間(夏) 9:30〜19:00(最終入場18:45)
料金 一般7ユーロ、割引4ユーロ
無料 毎月第1日曜、ローマ居住者、障がいのある人、子ども
休み 月曜、12月25日、5月1日
所要 約45分

料金と時間は、2026年10月時点のローマ市文化財監督局の案内(2023年の公開時は一般5ユーロだった)。団体は電話060608で予約が必要。

現地での半日〜1日の回り方

保護区は昼の12時から、遊歩道は朝9時半から開く。月曜はどちらも休みなので、火〜日曜に組もう。

時刻 行程
9:30 遺跡の遊歩道へ(約45分)
10:30 広場のまわりを歩く。柵の上から猫を探す
11:00 近くの名所へ。中心部なので歩いて回れる
12:00 保護区がオープン。猫に会う
13:00 昼ごはん
午後 ほかの観光へ。保護区は16:30まで開いている

半日しかないなら、11時半ごろに着いて広場の上から遺跡を眺め、12時に保護区へ入るのがいちばん無駄がない。毎月第1日曜は遊歩道が無料になるので、日程が合えばねらい目だ。

羽田からの直行便はローマに20時台に着くため、着いた日に保護区へは行けない。保護区は翌日以降の予定に入れよう。

東京からの行き方と費用

行き方

区間 目安
羽田→ローマ(フィウミチーノ) ITAエアウェイズの直行便。12:40ごろ発→20:25ごろ着、約15時間45分
空港→テルミニ駅 特急レオナルド・エクスプレスで32分、14ユーロ
市内→広場 中心部なので、ほかの観光地から歩いて回れる

直行便の時刻は、2026年10月時点の「えきから時刻表」による(ANAとの共同運航便もある)。成田からローマへの直行便は、2026年10月時点では見当たらなかった。レオナルド・エクスプレスは15分ごと(時間帯により30分ごと)に走り、テルミニ発は4:50〜23:35、空港発は5:38〜翌0:23(Trenitalia)。

費用の目安(大人1人)

項目 目安
航空券(東京⇔ローマ) 羽田発で往復10万9千円台からの表示(skyticket)
空港⇔テルミニ駅 片道14ユーロ(往復28ユーロ)
保護区 無料(寄付は歓迎)
遺跡の遊歩道 一般7ユーロ

航空券は2026年10月時点のskyticketの表示で、成田発は往復13万円台からだった。直行便を使わず、ヨーロッパの都市で乗り継ぐ便もある。運賃は時期と予約のタイミングで大きく変わるので、航空会社のサイトで比べてほしい。

EUでは出入国の手続きの新しいしくみが順に導入されている。日本のパスポートで観光する場合の条件も、出発前に外務省やEUの公式案内で確かめておこう。

ベストシーズン・猫に会いやすい時間

ローマ・チャンピーノ空港の平年値(1991〜2020年、英語版Wikipedia)を見ると、こうなる。

月 最高気温 最低気温 雨の日
1月 12.0℃ 3.4℃ 7.4日
4月 18.8℃ 8.6℃ 7.4日
7月 31.0℃ 19.3℃ 2.2日
10月 22.2℃ 12.4℃ 7.3日
  • 春(4〜5月)と秋(9〜10月):歩きやすい気温で、遺跡めぐりにちょうどいい
  • 夏(6〜8月):雨はほとんど降らないが、最高気温は30℃を超える。遊歩道は19時まで開いているので、涼しい時間に回れる
  • 秋の終わり〜冬(11〜12月):雨が増え、11月の雨量は平年108mmほど。遊歩道は16時に閉まる

猫に会いやすい時間について、保護区の公式な案内は見当たらなかった。広場の上からなら、開館時間に関係なく遺跡の猫が見えることもある。一般論として、猫は暑い昼間より朝や夕方に動くことが多く、冬は日だまりに集まりやすい。

持ち物

  • 小銭・少額のユーロ:保護区への寄付に
  • 歩きやすい靴:ローマの中心部は石畳が多い
  • 帽子と水:夏の遺跡は日陰が少ない
  • 望遠ぎみのカメラ:広場の上から遺跡の猫を撮るなら
  • 雨具:11〜12月は雨の日が多い

訪ねるときのマナー

  • 保護区は月曜と、1月6日・3月15日・8月15日が休み。遊歩道は月曜・12月25日・5月1日が休み
  • 猫へのエサやりは、ボランティアの世話に任せる。おやつを持ちこまない
  • 遺跡の柵の中に入らない。猫を呼ぼうと物を投げ入れない
  • 寝ている猫や、シェルターで療養中の猫を驚かせない
  • 寄付が、猫のごはんと医療費になる

よくある質問

Q. 保護区の見学にお金はかかる?

かからない。火〜日曜の12:00〜16:30に無料で入れる。寄付は歓迎されている。遺跡の中の遊歩道は別で、一般7ユーロ(2026年10月時点)。

Q. 月曜に行ったらどうなる?

保護区も遊歩道も休み。ただ、広場は道路から見下ろせるので、柵の上から遺跡と猫を眺めることはできる。

Q. どうして3月15日が休みなの?

紀元前44年の3月15日に、ユリウス・カエサルがこの遺跡の「ポンペイウスのクリア」で暗殺されたからだ。保護区はこの日のほか、1月6日と8月15日も休みにしている。3月15日に合わせて旅程を組むと保護区に入れないので気をつけたい。

Q. 猫にエサをあげてもいい?

保護区の猫は、ボランティアが毎日世話をしている。旅行者がエサをあげるのは控えて、気持ちは寄付で伝えよう。

Q. 旅行者でも猫を支援できる?

できる。月15ユーロからの「遠隔里親」があり、担当の猫の写真と近況が半年ごとに届く。寄付はPayPalでも受け付けている(公式サイト)。

Q. 子ども連れや車いすでも行ける?

遊歩道は段差がなく、昇降機もあるので、ベビーカーや車いすでも回れる。子どもは遊歩道が無料。保護区の通路の様子は公式では確認できなかったので、心配なら現地で確かめたい。

Q. 雨の日でも楽しめる?

遊歩道は屋外なので、雨の日は足元に気をつけて。猫はシェルターの中や屋根の下に入っていることが多い。雨が強い日は、保護区だけ短く訪ねて屋内の観光と組み合わせるとよい。

合わせて行きたい周辺スポット

  • 遺跡の遊歩道と展示スペース:神殿の遺物に加え、巨大な像の頭部2つも見られる。中世の塔「トッレ・デル・パピート」や、8〜12世紀の聖ニコラ教会の跡も遺跡の中に残る(ローマ市文化財監督局)
  • ローマ中心部の名所:広場は中心部にあり、ほかの観光地へ歩いて行ける
  • ローマの街の猫:ローマには5,000を超える猫のコロニーがあるとされる。遺跡や公園で猫を見かけても、地域の世話をする人に任せて見守ろう

編集部のひとこと

2000年以上前の石の上で、今を生きる猫が昼寝をしている。猫好きにとって、これほど時間の感覚がおかしくなる場所はなかなかない。その昼寝を支えているのは、30年以上続くボランティアの手だ。見に行ったら、帰りにほんの少しでも寄付箱へ。

関連項目

出典・参考資料

※性格や体の特徴には個体差があります。健康について気になるときは、動物病院に相談してください。

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