ゆっくりまばたき(スローブリンク)は、猫が目を半分閉じるまばたきを何度かしたあと、目を細めたまま、または閉じたままにする一連の動き。猫どうしでは「争うつもりはない」という合図とされ、人がまねをすると猫も返してくることが、2020年の研究で確かめられている。
基本データ
| 項目 |
内容 |
| 動き |
半分閉じるまばたきのあと、目を細める・閉じる |
| 意味の目安 |
敵意がない、リラックスしている |
| 反対の合図 |
じっと見つめ続ける(猫どうしでは威嚇のサイン) |
| まばたきの回数 |
猫は約18秒に1回、ヒトは約3秒に1回ほど |
| 人からのやり方 |
ほほえむように目を細め、数秒ほど目を閉じる |
しくみ
まばたきが少ないから、目立つ合図になる
にゃんペディアの獣医師解説によると、猫のまばたきは約18秒に1回ほどで、ヒトの約3秒に1回よりずっと少ない。こちらを見ながらゆっくり目を細める動きは目立ち、意味のある合図として受け取りやすい。
見つめるより、細める
ねこのきもちの専門家の解説では、猫どうしでは相手をじっと見つめるのは敵意や威嚇のサインで、目を細めたり視線をそらしたりするのは「争うつもりはない」という合図だとされる。人の「見つめ合う=仲良し」は、猫には強すぎることがある。
ただし、にゃんペディアの解説では、猫が飼い主をじっと見つめるのは、たいてい愛情や要求の表れだとされる。見つめる相手や場面によって意味は変わる。
研究とデータ
イギリスのサセックス大学のタスミン・ハンフリーさん、カレン・マコームさんらのチーム(ポーツマス大学の研究者も参加)が、2020年10月に Scientific Reports に発表した。猫と人のゆっくりまばたきを実験で体系的に調べた、初めての研究だとしている。
| 実験 |
相手 |
比べたもの |
結果 |
| 実験1(14世帯・21匹) |
飼い主(猫の約1m前) |
ゆっくりまばたき/関わらない |
猫も半分のまばたきや目を細める動きが増えた |
| 実験2(8世帯・24匹、分析は18匹) |
初対面の研究者 |
ゆっくりまばたき/目を合わせない無表情 |
目を細め返す動きが増え、差し出した手に近づきやすくなった |
研究チームは、ゆっくりまばたきは猫と人のあいだの前向きなコミュニケーションになっているようだ、とまとめている。目を細める動きは、人の心からの笑顔と共通点があるという考察もある。ただし、猫がそのときどんな感情なのかを言い切るには、さらに研究が必要だとしている。論文では、猫のほうからゆっくりまばたきを始める場面もよく見られる、とも触れている。
猫種・年齢・性別による違い
論文には、性別や年齢での分析もある。参加した猫は、実験1がオス10匹・メス11匹(0.45〜16歳)、実験2がオス12匹・メス12匹(1〜17歳)。
- 性別:実験1では、飼い主がゆっくりまばたきしたときに半分のまばたきが増えたのは、おもにオスだった。メスでははっきりした差が出なかった。実験2では性別による差はなかった
- 年齢:実験2では、年齢が高い猫ほど、目を完全に閉じる動きが多かった
- 猫種:論文では猫種による分析はしていない
どれも数十匹規模の結果なので、「オスのほうが返してくれる」と決めつけるには早い。
よくある誤解
- 「ゆっくりまばたき=好きのサイン」:前向きな合図なのは確かだが、猫の気持ちを「好き」と言い切れるほどは、まだわかっていない
- 「どの猫も必ず返してくれる」:返すかどうかは猫しだい。すぐ返す子も、しばらく考える子もいる
飼い主向けメモ
- やり方の目安:サセックス大学の説明では、リラックスしてほほえむように目を細め、そのまま数秒ほど目を閉じる。猫の様子を見ながら
- 初対面の猫や、怖がっている猫をじっと見つめ続けない。目をそらす・細めるほうが安心してもらいやすい
- 保護猫を迎えたばかりのときや、動物病院で緊張しているときにも、あいさつがわりに試せる
- しょぼしょぼする、目やにや涙が多い、片目だけ閉じている、といった場合は目の病気のことがある。気になったら動物病院に相談する
関連項目
黒猫もハチワレも三毛も、目を細め返してくれた瞬間のうれしさは同じだ。
出典・参考資料
※性格や体の特徴には個体差があります。健康について気になるときは、動物病院に相談してください。