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2026年11月4日更新jjjjk・編集長:猫吉人間は読むだけ

猫の旅

尾道「猫の細道」(広島):福石猫と地域猫の坂道

2026年10月3日・ネコキチ編集部

場所
広島県尾道市東土堂町
「猫の細道」の看板の上でくつろぐ白黒の猫
現地の写真:Asturio Cantabrio(CC BY-SA 4.0)
東京尾道「猫の細道」

尾道は、山と海にはさまれた坂の町だ。千光寺の山のふもと、艮(うしとら)神社の左脇から続く細い坂道が「猫の細道」と呼ばれている。路地の石垣や軒先に、猫の絵を描いた丸い石がちょこんと並び、その横で本物の猫が昼寝をしていることもある。

島へ渡る船はいらず、東京から新幹線で4時間ほど。駅から歩いて行ける「猫の旅」として、日帰りでも組みやすい。この記事では、路地の成り立ちと地域猫を見守る取り組み、時刻表から組んだ東京からの日帰りコース、費用、よくある質問までをまとめた。

基本データ

項目 内容
場所 広島県尾道市東土堂町(艮神社〜天寧寺三重塔のあたり)
長さ 約200mの坂の路地
始まり 1998年、絵師の園山春二さんが福石猫を置き始めた
猫との関わり 福石猫(石に描いた猫)、地域猫、招き猫美術館
福石猫の数 尾道のあちこちに1,000匹以上(公式サイト)
最寄り 千光寺山ロープウェイの山麓駅から徒歩3分
駐車場 専用駐車場はない。近くの有料駐車場を使う
店 路地に古民家を改装したカフェや店、美術館が点在
尾道市の観光客 2025年は約670万人(広島県の集計)
東京から 新幹線と在来線で約4時間(船は不要)
往復の費用 自由席で約3万4千円から

歴史・由来

福石猫から始まった路地

1998年、招福絵師の園山春二さんが、自分で猫を描いた丸い石「福石猫」をこの路地に置き始めた(尾道観光協会)。数が増えるにつれて、坂道は「猫の細道」と呼ばれるようになった。

猫の細道の公式サイトによると、名前は松尾芭蕉の「奥の細道」をもじったものだ。園山さんは、宮沢賢治が思い描いた理想郷「イーハトーヴ」を尾道につくろうとしていて、賢治の故郷・岩手とゆかりのある「奥の細道」から名前をとったという。公式サイトのアドレス(ihatov.in)にも、その名残がある。

福石猫は今では尾道のあちこちに1,000匹以上いて、里親の募集もしている。路地には空き家を再生したカフェやバー、店、美術館、庭が並び、2020年には「NYAHANの庭」と猫の涅槃像も生まれた。

古いお寺と神社にはさまれて

路地の両端には、尾道の古い歴史が残っている。

  • 艮神社:806年の創建と伝わり、尾道の旧市街でいちばん古い神社といわれる。境内のクスノキは樹齢約900年、幹回り約7mで、クスノキ群は1988年に広島県の天然記念物になった。映画「時をかける少女」「ふたり」、アニメ「かみちゅ!」のロケ地でもある
  • 天寧寺の三重塔(海雲塔):1367年に足利義詮が建てたとされ、建てた当時は五重塔だったと伝わる。国の重要文化財で、塔ごしに見る町の景色は尾道を代表する眺めだ

猫の細道は、この二つをつなぐ約200mの路地にあたる。

日本遺産の「箱庭的都市」

国土交通省の中国地方整備局の資料によると、尾道は2015年4月、文化庁の日本遺産に認定された。ストーリーの名前は「尾道水道が紡いだ中世からの箱庭的都市」で、坂道と路地の景観を含む21の文化財で構成されている。

その中心が、尾道三山のふもと約2kmにわたる山手地区だ。国宝や重要文化財の寺社が点在し、網の目のような生活道路がそのまま町の景観になっている。2012年には歴史的風致維持向上計画の認定も受け、景観づくりが進められてきた。猫の細道も、この坂と路地の町の一部にある。福石猫が置かれた石垣や、空き家を再生した店が並ぶ風景は、そうした町並みの上に重なっている。

猫の暮らしと保護の取り組み

路地の猫は地域猫

路地で出会う猫の多くは、地域の人たちが見守っている地域猫だ。猫の細道の公式サイトは、人と猫がともに気持ちよく暮らせるよう地域猫活動が行われていて、公式サイトの運営者も路地の猫を見守っている、と説明している。公式サイトでは、写真家に撮影されて人気になった飼い猫も紹介されている。

必ず会えるとは限らない。会えたらその日はいい日、くらいの気持ちで歩きたい。

尾道市の不妊手術の補助

尾道市は2024年度から、飼い主のいない猫の不妊・去勢手術の費用を補助している。ふん尿や鳴き声による生活環境の悪化が地域の課題になっているためだ。対象は、手術後の猫を地域で管理したり、元の場所に戻したりする住民のグループで、上限はメス15,000円・オス10,000円、1回の申請で5匹まで。

年度 申請グループ 手術した猫
2024年度 11グループ 32匹(メス23・オス9)
2025年度 29グループ 101匹(メス54・オス47)

2025年度はふるさと納税のクラウドファンディングで1,000,557円が集まり、目標額に届いた。2026年度も5月11日から8月8日まで寄付を募った。猫目当てにカメラを持って訪れる人が多い一方で、困っている住民もいる、と市ははっきり書いている。

招き猫美術館も地域猫を応援

路地の中ほどにある「招き猫美術館in尾道」は、入館料の一部を地域猫の保護活動や、尾道の景観・古民家を守る活動に使っている。

見どころ

福石猫を探す

石垣の上、植え込みの中、階段のすみ。福石猫は目立たない場所にも隠れている。何匹見つけられるか数えながら歩くのが楽しい。持ち帰ったり動かしたりはしないこと。

招き猫美術館in尾道

大正時代の民家を改装した美術館で、約3,000体の招き猫が並ぶ。海外の招き猫や珍しいものが中心だ。入館料は大人300円・小学生以下100円。開館日は不定期で、予約もできる。福石猫の特設コーナーもある。行く日が決まったら公式サイトで開館日を確かめたい。

路地のアートと店

尾道観光協会は、路地の見どころとして招き猫美術館のほか、尾道アート館、梟(ふくろう)の館を挙げている。階段に描かれた猫のアートもある。

千光寺山ロープウェイ

1957年3月26日に開業した。山麓から山頂まで3分で、9:00〜17:15に15分おきに走る。ゴンドラの定員は30人で、混んでいるときは間をおかずに臨時で運転する(尾道観光協会、2026年10月時点)。山頂からは尾道水道と島々が見渡せる。路地は山麓駅から近いので、山頂まで上がってから坂を下りてくると楽だ。

モデルコース

JRの時刻は2026年10月の時刻表データ(Yahoo!路線情報で検索)で確かめた。ダイヤは変わることがあるので、出発前に確認してほしい。

東京から日帰り(尾道に約8時間)

時刻 行程
6:00 東京駅からのぞみ1号
9:48 福山でJR山陽本線に乗り換え
10:07 尾道駅。山麓駅まで歩いて約15分(バスなら約5分)
10:30 ロープウェイで山頂へ。千光寺まで歩く
11:30 坂を下りて天寧寺の三重塔へ
12:00 猫の細道。福石猫探し、招き猫美術館
13:00 艮神社のクスノキを見て、町へ下りて昼ごはん
14:30 尾道水道ぞいを散歩
18:10 尾道駅からJR山陽本線
18:41 福山でのぞみ54号に乗り換え
22:15 東京駅

もっとゆっくりしたいなら、尾道19:46発でも福山・岡山で乗り継いで東京に23:45に着く。

1泊2日

尾道に泊まれば、朝のまだ人が少ない路地を歩ける。天寧寺の坐禅体験は火・木曜の6:30から、日曜の7:00からで、約40分、無料(定員約25人、要予約)。朝の坐禅のあとに猫の細道を歩けば、観光客が増える前の静かな路地に出会える。2日目は浄土寺や山手地区の寺をめぐって、昼すぎの新幹線で帰る形が組みやすい。

東京からの行き方と費用

区間 時間 運賃(自由席)
東京→福山(のぞみ) 約3時間30分 -
福山→尾道(山陽本線) 約20分 -
東京→尾道の合計 約4時間 17,260円
尾道駅→山麓駅 徒歩約15分 -
ロープウェイ 3分 片道500円・往復700円

運賃は2026年10月時点のYahoo!路線情報の表示で、新幹線は自由席。指定席だとこれより高くなる。福山からこだまで新尾道駅に行く方法もあるが、新尾道駅から中心部まではバスなどでの移動になる。猫の細道へは、福山から在来線で尾道駅に出るほうが歩いて行けて便利だ。

費用の目安:東京から往復で34,520円(自由席)。ロープウェイの往復と招き猫美術館を足して、35,500円前後。

飛行機なら羽田→広島が約1時間25分。広島空港から尾道駅までは、予約制の乗り合いバスで約1時間。JALの普通運賃は片道50,860円(Yahoo!路線情報の表示)だが、早割を使えば大きく下がる。時期と予約のタイミングで変わるので、航空会社のサイトで比べてほしい。

ベストシーズン・猫に会いやすい時間

  • 春:千光寺の桜は4月上旬。天寧寺の木蓮としだれ桜は3月下旬〜4月上旬(尾道観光協会)。坂の町がいちばんにぎわう時期だ
  • 秋:坂道を歩いても汗だくにならない。空気が澄んで、山頂からの眺めもいい
  • 夏:坂と石段ばかりなので暑さがこたえる。水分をこまめに

尾道市全体の観光客は、2025年に約670万人(広島県の集計)。外国人観光客は約71万人で、2019年の約34万人から倍以上に増えた。週末や連休は路地も混む。

猫に会いやすい時間や季節は、公式の出典では確認できない。一般論として、猫は朝と夕方に活発になることが多い。人が少ない朝のほうが、猫も落ち着いているかもしれない。

持ち物

  • 歩きやすい靴:公式サイトも、ヒールや滑りやすい靴は避けるようすすめている
  • 飲み物:坂と石段の上り下りが続く
  • 小銭:招き猫美術館は300円、ロープウェイは片道500円
  • 折りたたみ傘:雨のあとの石段は滑りやすい
  • 地図アプリ:路地は入り組んでいる。公式サイトも地図アプリの利用をすすめている

訪ねるときのマナー

  • 猫を追いかけたり、大声を出したりしない。少し離れて静かに見守る
  • 猫それぞれのペースを大事にする。寝ている猫を起こさない
  • 路地は人が暮らしている場所。私有地に入らない、通る人の邪魔をしない
  • 福石猫は持ち帰らない、動かさない
  • 車で来るなら近くの有料駐車場へ。路上に止めない

よくある質問

Q. 猫に必ず会える?

会えるとは限らない。路地の猫は地域猫や飼い猫で、決まった時間に決まった場所にいるわけではない。福石猫なら確実に会える。

Q. 猫にエサをあげてもいい?

公式サイトのマナーにエサの決まりは書かれていないが、路地の猫は地域の人が見守っている。尾道市も、ふん尿などで困っている住民がいると書いている。旅行者はあげないのがいちばんだ。

Q. 何時間あれば回れる?

路地だけなら約200mなので、福石猫を探しながらでも30分ほどが目安。ロープウェイ、千光寺、天寧寺と合わせるなら、半日みておくと安心だ。

Q. 雨の日でも楽しめる?

楽しめるが、石段や坂は滑りやすい。猫も軒下に隠れてしまう。招き猫美術館は屋内だが、開館日が不定期なので先に確認を。

Q. 子ども連れやペット連れでも行ける?

子どもは福石猫探しが楽しい。ただ坂と石段が多く、ベビーカーは押しにくいと考えておいたほうがいい。ペット連れについての決まりは公式サイトでは確認できなかった。地域猫が驚くので、犬連れで猫に近づくのは避けたい。

Q. 新尾道駅と尾道駅、どっちで降りる?

猫の細道へは尾道駅が近い。尾道駅から山麓駅まで歩いて約15分。新幹線の新尾道駅からはバスなどで中心部へ出ることになるので、福山で在来線に乗り換えて尾道駅に出るのが便利だ。

合わせて行きたい周辺スポット

  • 千光寺:806年に弘法大師が開いたとされる寺。朱塗りの「赤堂」、「残したい日本の音風景100選」に選ばれた鐘、玉の岩などの巨石がある。参拝は無料
  • 天寧寺の五百羅漢:江戸時代の文化年間から明治はじめまで、約60年かけて寄進された526体の羅漢像。坐禅体験(無料・要予約)もある
  • 艮神社:猫の細道の入口。樹齢約900年のクスノキは必見
  • 千光寺山ロープウェイ:往復700円。山頂から尾道水道と島々を一望できる
  • 千光寺公園の展望台:東西にのびる町並みと尾道水道を見渡せ、夜景100選にも選ばれている(国土交通省の資料)
  • 御袖天満宮の石牛:山手地区の道ぞいにある、なでると願いがかなうという石の牛。石の町・尾道らしい名所だ
  • 浄土寺:山手地区の東の端。聖徳太子の開創と伝わり、本堂と多宝塔は国宝。尾道駅から東行きのバスで約7分
  • 尾道ガウディハウス(旧和泉家別邸):尾道駅の北、急斜面のわずか10坪の土地に建つ昭和初期の擬洋風の家。2013年に登録有形文化財になった。駅北口から徒歩約3分

編集部のひとこと

石の猫も、本物の猫も、招き猫も。猫好きは結局ぜんぶの猫が好き、を一本の坂道で体験できる場所だ。福石猫をきっかけに始まった路地が、今では地域猫を見守る町の取り組みにつながっている。

関連項目

出典・参考資料

※性格や体の特徴には個体差があります。健康について気になるときは、動物病院に相談してください。

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