猫が危ないものを食べた・かじった・なめたかもしれないときは、この記事を読む前に動物病院へ電話してください。症状が出ていなくても、あとから出てくることがあります。夜間ならすぐ動物病院へ行くべき猫の症状の「夜間救急の探し方」を。
猫は「それ何?」の塊だ。テーブルの上、ゴミ箱、飾った花、脱ぎっぱなしのカバン。好奇心旺盛なハンターにとって、人間の家は罠だらけのダンジョンに見えているはずだ。この記事はふざけずにいく。人間にはなんでもないのに、猫には危ないとされるものをまとめた。
結論
猫にとって特に危ないとされる身近なものは、ユリ科の植物、ネギ類、チョコレート(カカオ)、ブドウ・レーズン、キシリトール、古いタイプや凍らないタイプの保冷剤、人間用の薬だ。
どれも「何グラムまでならセーフ」という話ではない。猫の体の大きさや体調で影響は変わるし、ユリのようにほんの少し口にしただけでも命に関わることがあるものも混ざっている。なので、この記事では量の目安は書かない。「家に置かない」「出しっぱなしにしない」が唯一の正解で、口にしたかもしれないなら迷わず受診、だ。
くわしく
ユリ科の植物(いちばん危ない部類)
International Cat Care(猫の福祉団体)は、ユリ属(Lilium)とワスレグサ属(Hemerocallis、デイリリー)を猫にとって極めて危ない植物として挙げている。カサブランカのようなオリエンタル系、テッポウユリ、オニユリ、スカシユリなど、花屋でおなじみの顔ぶれだ。
怖いのは、花・葉・茎・花粉のどこでも危ないとされていること。体についた花粉を毛づくろいでなめたり、花瓶の水を飲んだりするだけでも中毒になりうる。腎臓がやられる急性の中毒で、同団体は緊急事態として、すぐ動物病院に連絡するよう呼びかけている。よだれ、吐く、食欲がない、元気がない、といった様子が数時間のうちに出ることがあるという。
ちなみに「リリー」と名前がついていても、スパティフィラム(ピースリリー)やカラーは本物のユリとは別の植物で、毒の性質も違う。ただし害がないわけではないので、猫のいる家で植物を置くときは、名前ではなく種類で調べるクセをつけたい。
ネギ類(玉ねぎ・長ねぎ・にら・にんにく)
赤血球を壊す成分が含まれていて、貧血を起こすおそれがある。ASPCA(アメリカの動物愛護団体)は、猫は犬よりもネギ類の影響を受けやすいと書いている。生でも加熱しても成分は残るので、ハンバーグ、すき焼きの残り汁、ネギ入りの味噌汁など、「具として混ざっているもの」がいちばん油断しやすい。
チョコレート・カカオ
カカオに含まれるテオブロミンなどの成分が、興奮、ふらつき、吐く、下痢といった症状を起こすとされる。ココアやカカオ多めのお菓子も同じ仲間だ。
ブドウ・レーズン
犬で腎臓の障害が起きることがよく知られていて、猫でも避けるべき食べ物に挙げられている。SBIペットの獣医師監修記事では、最悪の場合は急性の腎障害で亡くなることもあると書かれている。猫でどれくらい起きるのかはまだはっきりしない部分もあるが、「わからないなら与えない」でいい。パンやお菓子に入ったレーズンも忘れずに。
キシリトール
犬では血糖値が急に下がる、肝臓を傷める、という中毒で有名な甘味料だ。猫についてのデータは犬ほど多くないが、国内の獣医師監修記事では猫にも危ないものとして挙げられている。ガム、タブレット、歯みがき粉など、人間用の「歯にやさしい」ものほど入っている。
保冷剤(エチレングリコール)
一部の保冷剤や車の不凍液には、エチレングリコールという甘い味の成分が使われていることがある。アニコム損保の解説では、飲み込むとふらつきなどが出て、その後に腎臓の障害が進むとされている。いまの保冷剤は別の成分のものが多いとされるが、中身がわからない古いものや、凍っても柔らかいタイプは特に注意。噛んで破る猫もいるので、使ったら出しっぱなしにしない。
人間用の薬
湘南ルアナ動物病院の解説では、かぜ薬などに入るアセトアミノフェンは猫で貧血を起こすことがあり、痛み止めのイブプロフェンは胃腸からの出血や腎臓の障害につながることがあるとされている。「人間用だから効きそう」と猫に飲ませるのは論外だし、床に落ちた1錠を拾い食いする事故もある。薬はふたつきのケースへ。
そのほか気をつけたいもの
- アルコール(料理酒やお酒の残りも)
- 生のイカ・タコなど(SBIペットの記事では、ビタミンB1が足りなくなる原因になるとされる)
- 人間用に味つけしたもの全般(塩分が多い)
危ないものの早見表
| 分類 |
代表例 |
よく言われる影響 |
うっかりポイント |
| ユリ科の植物 |
ユリ、デイリリー |
急性の腎障害 |
花粉・花瓶の水もだめ |
| ネギ類 |
玉ねぎ、長ねぎ、にら、にんにく |
貧血 |
加熱済みの料理、汁 |
| カカオ |
チョコ、ココア |
興奮、吐く、下痢、ふらつき |
机に置いたお菓子 |
| ブドウ類 |
ブドウ、レーズン |
腎障害の報告 |
パン・お菓子のレーズン |
| 甘味料 |
キシリトール |
低血糖など(主に犬で報告) |
ガム、歯みがき粉 |
| 保冷剤 |
エチレングリコール入りのもの |
ふらつき、腎障害 |
古い・凍らないタイプ |
| 人の薬 |
かぜ薬、痛み止め |
貧血、胃腸出血、腎障害など |
床に落ちた錠剤 |
影響は代表的なものだけを挙げた。症状の出方は猫によって違う。
家でできる予防
- 花束をもらったらユリが入っていないか確認する。入っていたら猫のいない家へおすそわけ
- 生ゴミは、ふたつき・ロックつきのゴミ箱に
- 人の食事中と食後は、皿を出しっぱなしにしない
- 薬・サプリ・ガムは引き出しかふたつきの箱へ
- 使ったあとの保冷剤は、すぐ冷凍庫か捨てる
ねだる顔がかわいすぎて負けそうになる気持ちはよくわかる。キジトラも黒猫もハチワレも、あの顔で見上げられたら全員に屈しそうになる。そこを踏ん張るのが飼い主の仕事だ。おやつは猫用のものを、パッケージの量どおりに。ごはん全体の量はごはんの量計算で確認できる。
病院に相談する目安
- ユリを少しでもかじった・花粉をなめた・花瓶の水を飲んだかもしれない:症状がなくても、すぐ動物病院へ
- 薬や保冷剤を口にしたかもしれない:すぐ電話して指示をもらう
- ネギ類・チョコ・ブドウ・キシリトール入りのものを食べたかもしれない:量が少なそうでも、電話で相談する
- 吐く、よだれ、ふらつく、ぐったりしている、けいれんしている:すぐ受診
電話では、何を・いつごろ・どれくらい口にしたかを伝える。薬なら箱や包装、食べ物ならパッケージを持っていくと、獣医師が成分を確認しやすい。吐かせるかどうかなどの処置は、病院で獣医師が判断することだ。ネットで見た方法を家で試すのはやめておこう。
一番の対策は「危ないものが猫の届く場所にない家」。猫が悪いんじゃない、猫はただ全部を確かめたいだけだ。