猫がきゅうりを見て飛び上がるのは、見慣れない物が気づかないうちに背後にあったことへの、驚きの反射だと専門家は見ている。きゅうりそのものが特別に怖いわけではない。2015年ごろ、食事中の猫の後ろにきゅうりを置く動画が世界中で広まったが、わざと驚かせるのはケガやストレスのもとになる。
基本データ
| 項目 |
内容 |
| 反応の正体 |
驚いたときの反射的な反応 |
| 驚く理由 |
ふだん見ない物が、いつの間にか真後ろにある |
| 「ヘビに見えるから」説 |
可能性として言われている。証明はされていない |
| 驚かせるリスク |
ケガ、飼い主への不信感、攻撃的な行動、食事場所への不安 |
| 新しい物の見せ方 |
いきなりではなく、少しずつ慣らす |
しくみ
驚いているのは「状況」
ナショナルジオグラフィックは2015年11月にこの動画ブームを取り上げ、アメリカの動物行動の専門家に話を聞いている。南カリフォルニアの認定動物行動学者ジル・ゴールドマンさんの説明では、猫が跳び上がるのは驚いたときの反射的な反応だという。猫はふだん床にきゅうりがあるのを見ることがない。見慣れない物が、いつの間にか自分の真後ろにある。これが驚きの原因だ。
「ヘビに見えるから」説については、ゴールドマンさんは「ヘビと結びつけている可能性もある」という言い方にとどめている。主役はきゅうりではなく、気づかないうちに背後に物を置かれたという状況のほうだ。
食事中は、とくに無防備
動画の多くは、猫がごはんに夢中になっているすきに置いている。同じ記事で、猫の行動に関する本『Think Like a Cat』の著者パム・ジョンソン=ベネットさんは、猫にとって食事の場所は安心して過ごせる場所だと指摘している。ねこのきもちの解説でも、食事中に驚かされることが続くと、猫がその場所を危険だと思うようになるおそれがある、と注意している。
研究とデータ(専門家の見解)
きゅうりへの反応を数えた研究は見つからなかったが、専門家の見解はそろっている。
- アニコム損保の獣医師監修記事は、わざと驚かせるリスクとして、高く跳んだときに体をぶつけたり着地で骨折したりするおそれ、強い驚きが心の傷になって飼い主への不信感につながるおそれ、攻撃的な行動が出てエスカレートするケースを挙げている
- ねこのきもちの解説では、ストレスが長く続くと免疫力の低下につながるおそれがある、とされる
- ナショナルジオグラフィックの記事では、イギリス・ブリストル大学の猫の行動学者ジョン・ブラッドショーさんも、この手の動画を強い言葉で批判している
猫種・年齢・性別による違い
ナショナルジオグラフィックの記事では、反応は猫ごとに違い、驚きやすい猫とそうでない猫がいるとされる。今回見た資料には、猫種・年齢・性別による違いは書かれていなかった。
よくある誤解
- 「猫はきゅうりが苦手」:きゅうりが特別というより、突然の物に驚いている。見慣れない物がいきなり現れれば、きゅうりでなくても驚く可能性がある
- 「笑える動画だから平気」:猫にとってはストレス。ケガや不信感のもとになる
飼い主向けメモ
- 猫をわざと驚かせない。きゅうりに限らず、音や物で「ドッキリ」を仕掛けるのはストレスのもと
- 新しい物(キャリー、爪とぎなど)は、猫が自分のペースで近づけるように、目に入る場所に置いて少しずつ慣らす
- ごはんやトイレの場所は、猫が安心できる静かな場所にする。後ろから人が急に来ない位置だとなおよい
- 驚いたあとに隠れて出てこない、食欲が落ちた、足を引きずる、といった様子があれば、動物病院に相談する(すぐ動物病院へ行くべき猫の症状)
関連項目
飛び上がった子も、ちらっと見て無視した子も、驚かされない暮らしがいちばんだ。
出典・参考資料
※性格や体の特徴には個体差があります。健康について気になるときは、動物病院に相談してください。