習性事典猫の性格は猫種や毛色で決まる?遺伝・育ち・個体差の研究
2026年10月7日・ネコキチ編集部
猫の性格には、猫種ごとの「傾向」がある。フィンランドで約5,700匹を調べた研究では、活発さや人見知りなどに猫種による差が見つかり、性格の一部は遺伝することも示された。ただし同じ猫種の中でも差は大きく、子猫のころの経験や今の暮らしも性格に関わる。毛色で性格が決まるという話には、はっきりした根拠がない。
基本データ
| 項目 |
内容 |
| 性格の測り方 |
多くは飼い主へのアンケート。活発さ・人なつこさ・人見知り・攻撃性などを点数にする |
| 猫の性格の5因子 |
神経質さ・外向性・支配性・衝動性・協調性(2017年、約2,800匹の調査) |
| 猫種による差 |
ある。約5,700匹・40猫種の調査で、10項目の行動に差が見つかった |
| 遺伝の影響 |
調べた7項目で遺伝率0.4〜0.53ほど(3猫種での推定。中くらいの目安) |
| 子猫期の影響 |
生後2〜7週ごろの社会化期の経験が大きいとされる |
| 毛色との関係 |
はっきりしていない。人が毛色で性格を思い込みやすいことは調査で示されている |
しくみ
遺伝:親から受け継ぐ部分がある
猫種は、見た目だけでなく行動の面でも分かれてきたと考えられている。ヘルシンキ大学の研究チームは、血統のわかるラグドール・メインクーン・ターキッシュバンで、活発さや人との接し方など7項目の遺伝率を推定し、0.4〜0.53ほどという中くらいの値を出した。猫どうしの性格の違いのうち、4〜5割ほどが遺伝で説明できるという目安だ。同時に、同じ猫種の中にも遺伝的なばらつきが大きいこともわかっている。
育ち:子猫のころの経験
猫は生まれつき人と暮らしたがる動物ではなく、人に慣れることは子猫のころに学ぶ部分が大きい。イギリスの保護団体キャッツ・プロテクションは、社会化期を生後2〜7週ごろとし、この時期にいろいろな人にやさしくさわられることが大事だと紹介している。こわがる反応は生後6週ごろから出はじめるという。
離乳の時期
同じフィンランドのチームの調査では、生後8週より前に母猫から離された猫は、攻撃的なふるまいが出やすかった。14週より後に離された猫は、早く離された猫より知らない人への攻撃性が出にくかった。
今の暮らし
外に出るかどうか、ほかの猫がいるかどうかといった環境も、行動に関わる要素として研究で扱われている。性格は、遺伝と育ちと環境が重なってできあがるものだ。
研究とデータ
- Salonenら(2019年、Scientific Reports):フィンランドの猫5,726匹(40猫種、19のグループにまとめて分析)を飼い主アンケートで調べた。離乳の時期・外に出るか・ほかの猫の有無・性別・年齢を考えに入れたうえで、猫種による差が出た
- 活発さ:コーニッシュレックス・コラット・ベンガルが高く、ブリティッシュショートヘアがいちばん穏やか
- 人見知り:ロシアンブルーが知らない人や新しい物に慎重な傾向。バーミーズは知らない人にもっとも物おじしにくかった
- 攻撃性:ターキッシュバン(アンゴラと同じグループ)は人やほかの猫への攻撃的なふるまいの回答がやや多く、ブリティッシュショートヘアやペルシャは少なかった
- 猫種を性格で分けると4つのまとまりになり、ブリティッシュショートヘア・ノルウェージャン・ラグドール・ペルシャとエキゾチック・バーマンのグループがもっとも落ち着いていた。ただ、まとまり具合は「中くらい」とされている
- Ahola ら(2017年、Scientific Reports):同じ5,726匹のデータで、生後8週より前の離乳は攻撃性のリスクを上げ、こわがりには差がなかった
- Litchfield ら(2017年、PLOS ONE):南オーストラリアとニュージーランドの猫2,802匹を52の性格語で評価し、「猫の5因子(Feline Five)」を示した。協調性が低くイライラしやすい猫には、痛みや病気が隠れている場合があると指摘している
- Stelow ら(2016年):カリフォルニア大学デービス校の調査(1,274件)で、三毛・サビ・白黒・グレー白の猫は日常の場面で人に攻撃的と答えられることがやや多かった。ただ、抱っこや動物病院の場面では毛色による差はほとんどなかった
- Delgado ら(2012年):189人に毛色ごとの印象を聞くと、茶トラは「人なつこい」、白猫は「内気」のように答えが偏った。研究者は、実際にそうした差がある証拠はほとんどないと述べている
猫種・年齢・性別による違い
- 猫種:上の研究は飼い主の回答で、フィンランドの猫が対象。国や血統の系統が違えば結果も変わりうる。どの猫種にも、物おじしない子も慎重な子もいる
- ミックス(雑種):同じ調査で比べられているが、性格による猫種のグループ分けからは外されている。一匹ずつの差が大きいと考えるのが自然だ
- 性別:Salonenらの分析では、猫種の中でオスとメスの点数はよく似ていた。「オスは甘えん坊、メスはクール」をはっきり示すデータは見当たらない
- 年齢:研究では年齢も影響する要素として扱われているが、何歳でどう変わるかはこの調査からははっきりしていない
よくある誤解
- 「猫種で性格は決まる」:傾向はあっても、決まるわけではない。図鑑の「よく言われる性格」は目安で、目の前の猫がいちばんの答え
- 「茶トラはみんな甘えん坊」:毛色と性格の関係を示す根拠は弱い。毛色の呼び方は猫の毛色と模様の呼び名へ
- 「黒猫は不吉・扱いにくい」:根拠はない。くわしくは黒猫は不吉?
- 「大人になった猫は性格が変わらない」:暮らしの変化や体調で行動は変わる。急に怒りっぽくなったときは、性格より先に体の不調を疑いたい
飼い主向けメモ
- 猫種の「よく言われる性格」は参考程度に。保護猫なら、預かりボランティアや保護団体が見ている一匹ずつの様子がいちばん頼りになる
- 子猫は、早すぎる時期に母猫やきょうだいから離さないほうがよいとされる
- 人見知りの猫には、隠れられる場所を用意して、無理に抱っこしない
- 急に攻撃的になった、さわられるのを嫌がるようになった、といった変化は痛みや病気のサインのことがある。続くときは動物病院に相談しよう
関連項目
のんびりの子も、やんちゃな子も、人見知りの子も、それぞれにいいところがある。猫好きは、結局ぜんぶの猫が好き。
出典・参考資料
※性格や体の特徴には個体差があります。健康について気になるときは、動物病院に相談してください。