習性事典ロシアンブルー・シャルトリューなど、グレーの猫4種の見分け方
2026年10月23日・ネコキチ編集部
猫の世界で「ブルー」と呼ぶのは、青ではなく灰色(グレー)の毛色のこと。黒い色素を薄める遺伝子がはたらいて、黒がやわらかい灰色に見えている。ブルーの猫種として名前があがりやすいロシアンブルー・シャルトリュー・コラット・ブリティッシュショートヘアは、目の色・被毛の手ざわり・顔の形を見ると見分けやすい。
基本データ
| 項目 |
内容 |
| ブルーとは |
黒が薄まって灰色に見える毛色。猫の登録団体でもこう呼ぶ |
| 遺伝のしくみ |
黒を薄める「ダイリュート」の遺伝子。潜性で、両親から1つずつ受け継ぐと出る |
| 同じしくみ |
黒→ブルー、チョコレート→ライラック、茶(レッド)→クリーム |
| 毛色がブルーだけ |
ロシアンブルー・シャルトリュー・コラット |
| ブルーが有名な猫種 |
ブリティッシュショートヘア |
| ほかに出る猫 |
多くの純血種と、ミックス(雑種) |
しくみ
ブルーは「薄まった黒」
猫の毛の色は、黒〜茶の色素(ユーメラニン)と、黄〜オレンジの色素(フェオメラニン)の組み合わせでできている。ダイリュート(希釈)の遺伝子がはたらくと、色素の粒を毛の中に均一に行きわたらせるしくみがうまくはたらかなくなる。その結果、黒は灰色に、オレンジはクリームに見える。
ブルーの猫も、毛の色素そのものは黒と同じ種類だ。三毛の「黒」のところが薄まると、ブルーとクリームの「ダイリュートキャリコ」になる。毛色の呼び名は猫の毛色と模様の呼び名にまとめている。
潜性なので、両親がグレーでなくても生まれる
ダイリュートは潜性の遺伝なので、2つそろって初めて色に出る。1つだけ持つ猫は、見た目はふつうの黒などのまま。そのため、黒い猫どうしの子にブルーの子猫が生まれることもある。
「ブルーだけ」の猫種は、色も品種の条件になっている
ロシアンブルー・シャルトリュー・コラットは、CFA(アメリカの猫の登録団体)の基準でブルー以外の毛色は認められていない。ブリティッシュショートヘアは単色・タビー・バイカラーなど多くの色が認められていて、ブルーはそのひとつ(昔は「ブリティッシュブルー」とも呼ばれた)。
研究とデータ
- アメリカ国立がん研究所のグループ(Ishidaら、Genomics、2006年)は、猫の家系を調べてダイリュートの遺伝子がMLPH(メラノフィリン)だと突き止めた。遺伝子の1文字(1塩基)が抜けて、たんぱく質が途中で切れてしまう変化だった
- 薄い毛色の猫97匹(26の猫種と雑種)はすべてこの変化を2つ持ち、薄くない毛色の猫89匹(29の猫種と雑種)では2つそろっていなかった
- この変化をもつ猫の遺伝子の型は1種類だけで、論文は、イエネコのダイリュートはたった1回の突然変異から広がったと考えられるとしている
- つまり、ロシアンブルーの灰色も、ブリティッシュショートヘアの灰色も、近所のグレーの猫の灰色も、もとは同じ1つの変化だということになる
猫種・年齢・性別による違い
ブルーの4種は、次のところで見分けられる。目の色・被毛・体つきはCFAの基準と品種紹介から、体重とお手入れはネコキチの猫種図鑑の目安から(性格は個体差が大きいので、見分けの材料にはしない)。
|
ロシアンブルー |
シャルトリュー |
コラット |
ブリティッシュショートヘア |
| 原産 |
ロシア(諸説あり) |
フランス |
タイ |
イギリス |
| 大人の目 |
鮮やかなグリーン |
ゴールド〜カッパー(緑は失格) |
ペリドットのようなグリーン |
ゴールドかカッパー(ブルーの場合) |
| 被毛 |
密なダブルコート。毛先が銀色に光る |
ウールのように密で、水をややはじく |
下毛のないシングルコート。毛先が銀色 |
とても密で、羊毛のようではない |
| 顔・体 |
くさび形の頭、すらりとした体 |
丸く広い頭、がっしりした体に細めの足 |
ハート形の顔、筋肉質で見た目より重い |
丸い顔とふっくらしたほお。体はがっしり |
| 体重の目安 |
オス4.5kg前後まで・メス2.5〜3.5kg |
2.5〜6.5kg |
2.5〜5kgほど |
オス5〜8kg・メス4〜5kg |
| ブラッシングの目安 |
月2〜3回ほどのコーミング |
週1〜2回 |
週1回ほど |
週1回〜数回 |
見分けるときの順番
- 目の色:緑ならロシアンブルーかコラット、ゴールド〜カッパーならシャルトリューかブリティッシュショートヘア
- 緑の目どうし:顔がハート形で、毛が体にぴったり沿うのがコラット。顔がくさび形で、毛がふかふかと立つ(なでると跡が残る)のがロシアンブルー
- オレンジ系の目どうし:毛がウールのように割れ、体のわりに足が細めなのがシャルトリュー。顔がまん丸で、ほおがふっくらしたぬいぐるみ体型がブリティッシュショートヘア
子猫は目の色で見分けにくい
子猫の目は、どの猫も最初は淡いブルー(キトンブルー)。CFAによると、コラットの子猫や若い猫は黄色〜琥珀色の目のこともあり、緑が定まるのは2〜4歳ごろ。ロシアンブルーも、緑の濃さは年齢とともに深まるとされる。シャルトリューは成熟まで3〜5年かかるといわれ、CFAの基準でも毛の質・毛色・目の色は年齢や性別で変わるとしている。若い猫ほど、目の色だけで決めつけないのがよい。
4種以外のブルー
図鑑の中でも、ブリティッシュロングヘアのように、ブルーの毛色がいる猫種はほかにもある。上の研究で調べた薄い毛色の猫も、26の猫種と雑種にわたっていた。ミックス(雑種)にもブルーの猫はたくさんいる。グレーの単色の猫は、上の4種だけの色ではない。
よくある誤解
- 「グレーの猫はロシアンブルー」:ブルーは多くの猫種と雑種に出る毛色で、猫種の名前ではない。純血種かどうかは血統の記録で決まり、毛色や目の色だけではわからない。グレーのミックスはグレーのミックスとして、じゅうぶんかわいい
- 「ブルーの猫は青い毛をしている」:毛は灰色。少し青みがかって見えるので、猫の世界ではブルーと呼ばれている
- 「4種は同じ猫の地域違い」:原産も歴史も違う別の品種だ。ただしシャルトリューとブリティッシュショートヘアは数が減った時期に交配されたこともあり、FIFe(ヨーロッパの猫の登録団体)は1970年に両者を同じ基準にまとめたが、1977年に別々の基準に戻した
- 「ブルーの猫は静かでおとなしい」:ロシアンブルーやシャルトリューは鳴き声が控えめといわれるが、よく鳴く子もいる。コラットはいろいろな声を出すとされる。毛色と性格の関係は猫の性格は猫種や毛色で決まる?にまとめている
飼い主向けメモ
- 猫種を知りたいときは、毛色より目の色・顔の形・被毛の手ざわりを見る。それでも見た目だけで猫種は決められない
- ブルーの毛は、毛先の銀色やつやで光の当たり方による見え方が変わる。写真を撮るなら自然光がきれい
- お手入れの回数は猫種より、その子の毛の量で決めてよい。抜け毛が増える換毛期は回数を増やそう(猫の毛の長さ・抜け毛は猫種でどう違う?)
- 大人になってから目の色が急に変わった、濁ってきたというときは、毛色の話ではなく目の病気のことがある。早めに動物病院に相談しよう
- ブルーでも、三毛でも、茶トラでも。猫好きは、結局ぜんぶの猫が好きだ
関連項目
出典・参考資料
※性格や体の特徴には個体差があります。健康について気になるときは、動物病院に相談してください。